加齢黄斑変性
加齢黄斑変性とは
黄斑部に異常が生じ視力が低下する病気
眼底の中心部分である黄斑部という一番大事な箇所が、加齢による異常現象により出血や浮腫（むくみ）を起こし、視野の中心の見えにくさや歪みなどの症状が出る病気です。
加齢黄斑変性は、欧米では失明原因の第1位を占める疾患です。日本では比較的少ないと考えられていましたが、人口の高齢化と生活の欧米化により近年著しく増加しており、失明原因の第4位となっています。
病名中の「黄斑」とは、眼底の網膜の中心にある直径1.5～2mm程度の、物をよく見るときに使うたいへん重要な部分です。黄斑に異常が生じると、それがわずかなものでも視力を低下させ、しばしば回復が困難となります。
そして加齢により黄斑部の細胞の働きが悪くなると、酸素や栄養分の供給が低下し、老廃物が蓄積されてきます。この状態がさらに進行すると、黄斑部に異常な血管（新生血管）が生じ、出血や浮腫を起こします。自覚症状としては、視力低下・物が歪んで見える・見たい所が見えない、などがあります。
加齢黄斑変性の治療
以前は治療法は限られていましたが、現在は注射や特殊なレーザー等の治療法があります。
（現在当院では行ってません）
抗VEGF阻害剤硝子体注射
滲出型加齢黄斑変性では、網膜の下に広がる脈絡膜に新生血管が生じます。この新生血管の発症や進行に関与すると言われているVEGFという物質の作用を抑制する、抗VEGF薬という薬剤を直接眼球内に注射する治療法です。
いくつかの薬剤がありますが、目の中（硝子体腔）に6週あるいは4週ごとに2～3回注射します。その後は定期的に診察をして、脈絡膜新生血管の活動性が見られれば、再度注射を行います。
光線力学的療法（PDT）
光線力学的療法（PDT）は、光に反応する薬剤を腕の静脈から注射した後、病変部にレーザーを照射するという2段階で構成される治療法です。
この治療により正常な組織に大きな障害を及ぼすことなく、新生血管を閉じることが出来ます。ただ、病気のタイプによってはあまり効果がない場合もあります。
＊ 間違えやすい病気 ： 黄斑前膜（黄斑上膜） 初期には症状は似てますが、こちらはより軽症で失明することはまずありません。網膜の表面に膜が張ってくるだけの加齢現象で、網膜の深い層の病変である加齢黄斑変性とは全く異なる病態です。