人間ドックあるいは職場の健診等で、毎年受けてるのに今回初めて「視神経乳頭陥凹拡大」を指摘された、という方がけっこう来院されます。いわゆる緑内障予備軍という状態。直接眼科医が眼底をみてる事はまれなので、ほとんどは眼底写真での判定と思われます。
視神経乳頭陥凹の形状は、眼底写真を人間の肉眼で判定するの限りでは数年の単位でまず変わりません(OCTという検査器具で数字で出せばまた別ですが)。考えられるのは、
その1:眼底写真のいわゆる「写真写り」。今までちょっと暗く写ってたのが、たまたま明るくクッキリ写った。あるいは、写真の露出オーバーで実物より陥凹が白く大きく写った、などなど。
その2:判定する眼科医が変わった。定規とかで陥凹の大きさの割合が7割とかと判定している訳では無いはずですので、あくまでみた眼科医の「主観」。判定医が変われば微妙な例での見立て・判定は当然変わります。今まで、えっ?これで引っ掛けるの?という例を数回お目にかかりました。これ引っ掛けたら正直5人に一人、下手したら3人に1人引っかかるんじゃ無いか?と思う例もありました。
年によって変動する血液検査の値とかとは根本的に違い、短期間では変動「しない」性質の物ですので、引っかかったり引っかからなかったりを繰り返しますと患者さんとしてはちょっと混乱しますね。オーバーに診断されてしまった場合を除いて、通常は1回でも指摘されますと今後いつでも指摘される可能性がありますので、たまたまその年に引っかからなくてもそれは別に改善したわけでは無い事を理解する必要があります。