先日県の眼科健保研究会というのに行ってきたのですが、その中で「緑内障患者の9割は未発見未治療」という文面がありました。日本の中途失明原因の1番は現在緑内障ですが、全然指摘もされていない患者数がそれ程多いのかと、その根拠となるデータの出どころを調べますと有名な多治見スタディでした。
2000年~2001年に岐阜県多治見市で行われた大規模疫学調査で、出た頃に結果を見て病型別の頻度(眼圧正常3.6%、眼圧高い0.3%、閉塞隅角0.6%、続発性0.5%、計5%)をおおよそ記憶したと思いましたが未発見率は覚えていませんでした。すでに調査から大分時間も経過していますが、自分の実際の外来での感覚としてはそこまで多くはなく、数字的な根拠は何も有りませんが7~8割くらいといったところでしょうか。しかし、緑内障の有病率が40歳以上の全年齢で約5%・20人に1人、年齢とともにほぼ右肩上がりに増加し70歳台ですと約10%・10人に1人という事を考えますと、眼科受診や一般健診・人間ドックなども全く受けないで未発見の患者さんがまだまだすごくいるという事になります。(10%になるのは80歳台と今まで記憶していましたが、70歳台でした)。
眼科医になり始めた頃、眼底に生じる無症状の網膜裂孔は頻度からして何十人眼底検査したら1人は見つかるはずなので、1人も裂孔がなかったらそれは見逃してる可能性ありとの記述を見、見逃さないようにと思ったものです。地域差や時代差も有りますのでこの疫学調査の数字がすべてではありませんが、70歳以上の患者さんを10人見たら1人緑内障の患者さんがいる可能性あり、20人見て1人もいなかったらおかしい位に考えた方が良いと思いました。