ドライアイの定義・診断基準の改定

1年前医師会の発表会でドライアイに関連した演題を出しましたが、その時使用しました2006年ドライアイ研究会によるドライアイの定義は、「ドライアイとはさまざまな要因による涙液および角結膜上皮の慢性疾患であり、眼不快感や視機能異常を伴う」という内容でした。診断基準では、1:自覚症状、2:涙液の異常に加えて、3:角結膜上皮障害つまり眼球表面の傷の3つともあって確定となるとされてました。

今回の改定では、定義が「ドライアイは、様々な要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、眼不快感や視機能異常を生じ、眼表面の障害を伴うことがある」となってます。診断基準も、「BUT 5秒以下 かつ 自覚症状(眼不快感または視機能異常)を有する」とかなり簡素化された物になってます。これだけでいいのか、という気もしますが眼球表面に傷がある事は必須の条件ではなくなってます。 (BUT: Break Up Time、涙液層破綻時間、まばたきした後涙が乾き始めるまでの時間)。
実際の外来では、ドライアイの自覚症状があり眼球表面の乾燥がすごく早い例でも傷は無いことも少なくなくありませんので、より実態に即した内容だと思います。ただ、これですと眼球表面に明らかにドライアイとおぼしき傷があってもBUTが5秒以上であればドライアイとは確定できなくなってしまうと思いますが、そこら辺のところはどうなのでしょうか?